見本(架空の会社です)
導入支援報告書
8週間の導入支援でお渡しする資料の見本です。第5週の「導入診断書」と、第8週までに決める内容の要点を1冊にまとめています。会社名・人数・発言などはすべて架空です。
表紙
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 貴社名 | 株式会社サンプル製作所(架空) |
| 会社の状況 | 従業員約150名。人事は総務課長が兼務 |
| 障がい者雇用の方針 | 社内で、ほかの社員と一緒に働き、活躍できる職場をつくる |
| 対象 | 本社・総務課に席を置き、3つの部門から業務を集める |
| 業務を出していただく部門 | 購買課・品質保証課・営業課 |
| 期間 | 20XX年11月〜12月(8週間) |
| 作成 | 担当者レンタル 熊谷 祐希 |
1. 結論
判定進める
初回の採用は2名をおすすめします。2名が毎日続けられる業務と、教える人・相談の流れが決まりました。
| 項目 | 止まっていたこと(調査の前) | 8週間で決まったこと |
|---|---|---|
| 任せる業務 | 現場から「任せる業務がない」と言われ、候補が出なかった | 3部門から6つの業務。1日あたり約10時間分(2名分) |
| 指導担当 | 誰が教えるか決まっていなかった | 総務課の係長。休みの日は総務課の主任。各部門に業務の依頼窓口を1名ずつ |
| 受け入れの手順 | 入社後に何をするか決まっていなかった | 入社1か月前から入社4週目までの手順 |
| 困ったときの対応 | 相談する先がなく、前回の退職の一因になった | 本人 → 係長 → 総務課長 → 支援機関の相談ルートと、週1回の面談 |
判定の理由
- 毎日くり返す業務が2名分あり、半分に手順書があります。残りも手順書を作りやすい業務です。
- 経営会議で「社内で一緒に働き、戦力として育てる」方針が決まっており、教える人とその代わりの人も決まりました。
- 前回うまくいかなかった原因(業務の量と手順が決まっていない、相談先がない)に、それぞれ対策を決めました。
2. 業務の洗い出し
進め方
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 説明会 | 部長会で、目的と進め方を説明(20名) |
| 事前アンケート | 6部門に配布し、全部門から回収。1部門あたり平均5つの業務が挙がる |
| 部門ごとの聞き取り | 4部門、各1時間。業務の量・頻度・手順を確認 |
| 職場の見学 | 事務所・倉庫・会議室 |
「任せる業務がない」が変わった理由
最初は「障がい者向けの仕事」を探すものだと受け取られ、どの部門からも「ない」という答えでした。そこで、聞き方を次のように変えました。
- 新しく人が入ったら、まず何を頼みますか
- 後回しになっていて、たまっている業務は何ですか
- 派遣社員や外部の会社に頼んでいる業務は何ですか
- 残業が多い人は、何に時間を取られていますか
この聞き方で、4部門から31の業務が挙がりました。そこから、量・頻度・手順の3つの観点で6つに絞りました。
任せる業務
| 部門 | 業務 | 量・頻度 | 手順書 | 業務の種類 | 評価 |
|---|---|---|---|---|---|
| 購買課 | 注文書・納品書の入力と照合 | 毎日 約2時間 | あり | 中心 | ◎ 派遣社員の契約終了に合わせて引き継ぐ |
| 品質保証課 | 検査記録の入力 | 毎日 約2時間 | あり | 中心 | ◎ 2週間分たまっている |
| 品質保証課 | 検査成績書のPDF化とファイル保存 | 毎日 約2時間 | なし(作りやすい) | 中心 | ◎ |
| 営業課 | 見積書・請求書のPDF化とファイル保存 | 毎日 約2時間 | なし(作りやすい) | 中心 | ○ 後回しになっていた |
| 総務課 | 郵便物の仕分けと社内配布 | 毎日 約1時間 | あり | 合間 | ◎ 社内の人と顔を合わせる機会になる |
| 総務課 | 会議室の準備と備品の在庫確認 | 毎日 約1時間 | なし(作りやすい) | 合間 | ○ 写真つきの手順書を作る |
慣れてきたら、品質保証課の「月末の集計表づくり」(月1回)など、時期によって出る業務を加えます。
3. 業務の組み立て(1日の流れ)
業務を集めるだけでなく、1日の流れとして組み立てます。
- 中心の業務を、午前と午後に1つずつ置く。毎日同じ業務があると、見通しを持って働ける
- 合間の業務を、中心の業務の前後に置く。気分の切り替えや、手が空いたときに使う
- 時期の業務(月末・行事など)は、慣れてから加える
- 入社直後は、予定の2倍の時間がかかる前提で組む。早く終わったら合間の業務に移る
1人目の1日(例)
| 時間 | 業務 | 種類 |
|---|---|---|
| 9:30〜9:45 | 朝の打ち合わせ(今日の業務を確認) | ― |
| 9:45〜10:45 | 郵便物の仕分けと社内配布 | 合間 |
| 10:45〜12:45 | 注文書・納品書の入力と照合 | 中心 |
| 12:45〜13:45 | 休憩 | ― |
| 13:45〜15:45 | 検査記録の入力 | 中心 |
| 15:45〜16:15 | 備品の在庫確認 | 合間 |
| 16:15〜16:30 | 終わりの報告(できたこと・困ったこと) | ― |
2人目は、午前に検査成績書のPDF化、午後に見積書・請求書のPDF化を中心の業務とし、会議室の準備を合間の業務にします。どちらも1日6時間・週30時間の勤務を基本とします。2人目の残りの時間は、慣れるまでは中心の業務にかかる時間の余裕とし、慣れてから時期の業務を加えます。
4. 指導担当と役割分担
誰が、何をするか
| 役割 | 誰 | すること |
|---|---|---|
| 指導担当 | 総務課 係長 | 毎日の業務の指示と確認。朝と終わりの打ち合わせ |
| 代わりの人 | 総務課 主任 | 係長が休みの日の指示と確認 |
| 業務の依頼窓口 | 購買課・品質保証課・営業課 各1名 | 業務の依頼と、でき上がりの確認 |
| 人事 | 総務課長 | 雇用の管理、配慮の決定、支援機関との連絡 |
| 担当者レンタル | 熊谷 | 手順書づくりと教え方の助言、本人との定期面談、支援機関との調整(入社後の支援をご契約の場合) |
人事と現場の分担
| 決めること | 人事(総務課長) | 現場(係長・依頼窓口) |
|---|---|---|
| 採用・雇用条件 | 決める | 意見を出す |
| 毎日の業務の指示と確認 | ― | 行う |
| 業務を増やす・変える | 了承する | 提案する |
| 配慮の内容 | 本人と話して決める | 毎日の業務の中で実行する |
| 困りごとの相談 | 2番目の相談先 | 最初の相談先 |
5. 受け入れの手順
| 時期 | やること | 誰が |
|---|---|---|
| 入社1か月前 | 受け入れる部門へ説明する(採用の目的と、前回との違い) | 総務課長 |
| 入社2週間前 | 席・パソコン・システムの権限と、手順書を用意する | 総務課・情報システム担当 |
| 入社前 | 本人・支援機関と、働き方と配慮を確認する | 総務課長 |
| 1週目 | 中心の業務を1つだけ。係長がそばで確認する | 係長 |
| 2週目 | 中心の業務を2つに増やす。終わりの報告を本人が書く | 係長 |
| 3週目 | 合間の業務を加える。依頼窓口から直接業務を受ける練習をする | 係長・依頼窓口 |
| 4週目 | 1か月の振り返り(本人・係長・総務課長・支援機関) | 総務課長 |
6. 困ったときの相談ルート
- 本人
- 1係長(指導担当)毎日の打ち合わせ
- 2総務課長(人事)週1回15分の面談
- 3支援機関月1回の連絡と、必要なとき
係長・総務課長が困ったとき → 担当者レンタルに相談
| 相談先 | いつ・どこで | 主に何を |
|---|---|---|
| ① 係長(指導担当) | 毎日の朝と終わりの打ち合わせ | 業務の進め方、分からないこと |
| ② 総務課長(人事) | 週1回15分の面談。①で解決しないとき | 働き方、人間関係、配慮の見直し |
| ③ 支援機関 | 月1回の連絡と、必要なとき | 生活や体調のこと |
- 口で言いにくいことは、相談シートに書いて出してもよいことにします
- 係長や総務課長が困ったときは、担当者レンタルに相談できます
7. 配慮を、毎日の業務のやり方に
配慮は、入社前に本人・支援機関と話して決めます。下は、決めた配慮を毎日のやり方に落とした例です。
| 本人がやりにくいこと(例) | 毎日の業務のやり方 |
|---|---|
| 一度にいくつもの指示を覚える | 指示は1つずつ出し、メモでも渡す |
| 予定が急に変わる | 変更は朝の打ち合わせで伝える。急ぎのときは理由も伝える |
| 「分からない」と言い出しにくい | 係長から午前と午後に1回ずつ声をかける |
| 疲れがたまりやすい | 午後の中心の業務の途中に、5分の休憩を入れる |
8. 判定の根拠と次にやること
判定の根拠
| 判定の基準 | 評価 | 根拠 |
|---|---|---|
| ① 任せる業務の量:採用する人数分の業務が、入社後も続けて見込めるか | ○ | 毎日約10時間分。2名分ある |
| ② 現場の指導担当:毎日の指示と確認をする人と、その代わりの人を決められるか | ○ | 係長と主任に決定 |
| ③ 指示と確認の方法:手順書と確認のしかたを作れるか | ○ | 6業務のうち3つに手順書あり。残りも作りやすい |
| ④ 経営の方針:社内で一緒に働き、戦力として育てる方針が合意されているか | ○ | 経営会議で決定済み |
| ⑤ 相談と配慮の体制:相談先と、配慮を決める流れを作れるか | △ | 相談ルートは決定。支援機関とのつながりはまだないため、採用活動の中でつくる |
注意が必要な点
| 注意が必要な点 | 対策 |
|---|---|
| 前回の退職経験から、現場に不安の声がある | 社長から全社員へ方針を伝える。前回との違い(業務・手順・相談先を先に決めたこと)を説明する |
| 購買課は月末が忙しい | 入社は月初にする。最初の2週間は総務課の業務から始める |
| 不足人数を早く埋めたくなる | 2名で始め、業務の広がりを確かめてから次の採用を判断する |
次にやること
- 求人条件:総務課配属・週30時間勤務を基本とする
- 選考:実習で、実際の業務を試してもらう
- 採用活動は、契約・同意・手順などの「採用開始前の準備」がすべて確認できてから始めます
いくつかの質問に答えると、任せる業務・指導担当・受け入れの手順・困ったときの対応の準備状況を、その場で図にしてお見せします。結果はメールでもお送りします。